ご存知の通り、新卒採用の難易度は年々上がり続けています。
魅力が無いわけではないはず。語れる材料が足りないわけでもない。説明会もスカウトも頑張っているのに、学生に振り向いてもらえず思ったような成果につながらない——。
そんな悩みを抱える採用担当者は少なくありません。
では今の学生は、企業のどこを見て、何で判断しているのでしょうか? 企業はどうすれば学生に選んでもらえるのでしょうか?
その問いに真正面から向き合うため、株式会社NOVELが運営する「人事る部」と大阪公立大学が共同開催したのが「採用ピッチグランプリ」というイベント。自社の採用ピッチを学生目線でシビアに評価してもらうという取り組みです。
イベント当日はおかげさまで大盛況。企業にとっても学生にとっても多くの学びが生まれる一日となりました!

この記事は、採用ピッチグランプリの当日の雰囲気や、そこで各々が得た学びをまとめたポート記事です。
優勝企業は記事の最後で発表。評価されたポイントについても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
新卒採用における“勝ち筋”を探している方にとって、少しでもヒントになれば幸いです。
「採用ピッチグランプリ」とは?

企業の⼈事担当者が、就活前・就活中の学⽣たちに向けて「⾃社で働く価値」を説く“ピッチスキル”を競い合う大会です。
制限時間はたったの10分。ごくごく短い時間で自社の魅力を伝えてもらいます。
記念すべき第一回大会では、食品や外食、製薬、物流から出版やマーケティングまで。多彩な業界から実力派企業の7社が集結しました。

大手もベンチャーも入り混じる顔ぶれが、それぞれ「この会社で働く魅力」を学生にピッチして競い合います。審査員は関西一円から約30名の学生が集まりました。
短く、鋭く。10分で伝える。
なぜ10分のピッチなのか? それは現代のコンテンツが “短尺化” しているからです。タイパ重視の学生が増える中、この短尺のトレンドからは逃れられないのは人事も同様。短く、そして鋭く自社の魅力を語れる能力が今の人事に求められています。
60分から90分の説明会を作り込む人事にとっては、正直ハードなお題。10分のピッチは「削る戦い」です。だからこそ最も伝えたいメッセージだけが最後に残ります。
評価するのは現役の大学生
評価をするのは、現役大学生たち。多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まり、企業のピッチに対して忌憚のない意見を寄せます。就職活動では”評価される側”の学⽣たちが、企業を“逆評価”します。
「合否」の利害を超えた関係性だからこそ、学生たちは遠慮なく意見を交わし、真剣にジャッジしてくれます。
企業は学生を選ぶ側でありながら、同時に選ばれる側でもある——。いまの採用市場と同様の構造を再現しました。
緊張と熱気が交差した10分間 × 7本
代表の裵から挨拶と趣旨説明が終わると、さっそく各企業の10分ピッチがスタート。ピッチ→採点→ピッチ→採点……とテンポよく進行していきます。
学生からの評価は、正直さ・独自性・共感性・表現力・熱意の5項目を6点満点で採点する方式です。企業の知名度や規模だけでは勝負が決まらず、ピッチを磨いた分だけ結果につながる評価設計にしています。

他社人事の仕事ぶり。表も裏も見せてもらう。
印象的だったのは、学生だけでなく後方席に集まる人事も他社のピッチを真剣に聞き込んでいたことです。人事にとっては他社の説明会を見学する絶好の機会。
スライド、語り手、そして学生の反応を同時に観察できるこの場では、「伝え方」はもちろん「伝わっているか」「響いているか」まで可視化されます。主催の私たちが想像していた以上に情報量の多い空間になりました。

さらに、ピッチとピッチの合間に設けた「アフタートーク」も興味深い時間になりました。募集ポジションの背景、この構成にした意図、泣く泣く削ったポイント当日までの試行錯誤など、10分間が完成するまでの裏側が明かされていきます。
もともとは採点時間をつなぐための “ちょっとしたブリッジ” のつもりでしたが、実践的なコツを共有する有意義なパートとなりました。
当日の熱気が一番伝わるのはやっぱり写真。
まずはイベントの雰囲気をダイジェストでどうぞ。
このあと、優勝企業と特別賞の発表へと続きます!











優勝企業は…?
映えある優勝に輝いたのは、株式会社FOOD & LIFE COMPANIES でした!

スシローという大きな看板を持つ同社ですが、ブランド力に頼らずピッチの強さで勝ち取った優勝というのが会場の空気から伝わってきました。笑いが起きる場面も多く、聞き手の注意と感情をしっかりとつかんでいたのが印象的です。
登壇した人事の前田さんは「緊張して飛んじゃって、アドリブも挟んだんですよ。だからあとで怒られるかも(笑)」と冗談を交えつつ、「評価してもらえて良かったです」と落ち着いた表情でコメントしました。

学生コメント
5項目 × 6点満点で採点する一方で、学生から寄せられたコメントも同時に回収しました。印象に残ったフィードバックを一部抜粋・編集して紹介します。
「聞いてて面白い。記憶に残るフレーズや、引きのある数字がたくさん盛り込まれていた」
「聴衆の反応を見ながら話してくれるのが良かった」
「飲食業界は不人気。でも良い点だってあるというのが伝わりました」
「話し方、内容、間の全てが噛み合っていて凄い。無意識に引き込まれるピッチでした!」
「ピッチの中で【自分の幸せを大切にしてね】という言葉があったが、実際の社員の暮らしやライフスタイルなど、数字に表れない部分も聞きたかった」
講評
「疲れたでしょ?」と学生にストレッチを促したり、「分かる人いますか?」と手を挙げてもらったり、真面目な話の直後にちょっと自虐を挟んで空気を緩めたり——。どれも一見すると単なるテクニックのようですが、どれもこれも優れた想像力の賜物です。経験と実力が滲みでています。
おそらく前田さんは全て想像していたんだと思います。今日この場がどんな空間になるか、学生がどんなテンションで受け取るのかを高い精度でイメージしていたんでしょうね。他社のプレゼン内容も予想してたからこそ、それを裏切ることができている。
イメージが明確だからこそWhat(話す内容)もHow(届け方)もベストに近づけられたのでしょう。小さなテクニックすら、意図した通り強烈に効いてくる。この想像力は、採用広報業務をするなら備えておきたい武器ですね。
(株式会社NOVEL 代表・青戸)
特別賞は……?

協賛企業であるサッポロビール様が選んだ特別賞は、ロート製薬でした。
サッポロビールの松田正哉様からはピッチを担当した藤原さんへサッポロ黒ラベル仕様の “記念キャップ” が贈られました。その場で直接被せてあげるという入団会見みたいなシーンも。参加者はもちろん運営スタッフも知らなかったとっておきのサプライズです。
選出理由は「若者のチャレンジを期待する」というメッセージに共感したためとのことたった10分という限られた時間に込められたロートの価値観と、サッポロビールが大切にしてきた哲学とが重なったことが、決め手になったようです。
学生コメント
「具体例が多く、自分の将来に当てはめての想像がしやすかったです!」
「ロート製薬という名前からは想像もつかない取り組みも知れて興味深かった」
講評
「自分のやりたいことに挑戦できる自由な環境」という魅力を提示したうえで、実際に前例のない事業や取り組みに成功した先輩の事例で裏付けを取る。これだけでも十分素晴らしいのですが、その先の展開がとくに良かったですね。
「逆にチャレンジができない人はこの会社では活躍できない」
「現状維持ではなく常に成長を求める」
という旨の、厳しいメッセージもあえて伝えています。求める水準の高さを包み隠さず打ち明けることで、逆説的に “裁量の大きさ” に説得力が生まれる構成でした。“ドーピングしない” が徹底された誠実なプレゼンと言えるでしょう。
今回のグランプリでは学生による採点基準にも「正直さ」を設けていますが、これは今の学生が就活で重視しがちなポイント。飾らず誠実に伝える姿勢は、それだけで信頼につながる。まさにお手本のようなピッチでした。特別賞受賞、おめでとうございます!
(株式会社NOVEL 代表・裵)
人事が持ち帰った“気づき”と“示唆”
イベントに参加した人事の方々からいただいた印象的なコメントを一部抜粋・編集して紹介します。
「10分でも伝えたいことは伝わる。これは大きな気づきですね。1時間話を聞いても何も頭に残らないなんてことだってありますもんね。新しいヒントになりました」
「同じ情報でも、切り口や話し方を工夫するだけでここまで違うのかと痛感した」
「懇親会では話しても話し足りず、1社の方とは二次会にまで行きました。同じ志を持つ人事とつながれたこと自体がとても良い機会だったと思います」
「学生から “Webに書いてあることは説明会で言わなくていいかも”とフィードバックされたのが衝撃でした。興味さえ持ってもらえれば学生はちゃんと読んでくれるとのこと。新しい気づきがたくさんあって良かったです」
「必ずしもうちでなくてもいいよ、という社会人の先輩としての誠実な姿勢で新卒学生のキャリアや人生を応援することが、むしろ採用につながるのかもしれません」
余韻のまま、懇親会へ
ピッチが終わったあとは懇親会へ。緊張がほぐれた分、企業と学生の距離が一気に縮まり、ここでも多くの会話が生まれていました。
人事同士で反省会のようにピッチを振り返る姿もあれば、学生同士で「ここが良かった」「就活どうしてる?」と意見交換する場面も。立場の枠を越えて、様々な交わりが生まれていました。人事と学生の会話も活発で、中には選考や面談につながるような前向きな会話も見受けられました。
ちなみに、審査員学生のうち数名は飛び込み参加。大阪公立大学の学生が授業終わりにきてくれました。運営側としては嬉しいハプニングです。そんな彼らも懇親会まで参加してくれました。学生にとっても、企業とのカジュアルな接点は案外喜ばれるものなのかもしれません———という気づきも得られる一日でした。



まとめ:伝え方が変われば、響き方も変わる

今回の採用ピッチグランプリを振り返ると、優勝したFOOD & LIFE COMPANIES、特別賞のロート製薬、そして高評価を得た他の企業に共通していたのは、「ターゲット学生を主語にした語り方ができていた」という点でした。
企業の魅力を一方的に語るのではなく、学生がどんな未来を望み、どんな働き方を選びたいのかに寄り添う姿勢が強く響いていたように感じます。
実際、とあるピッチに対しては学生から「あとで調べて優良企業だと分かったが、ピッチの時点では自分ごととして捉えられなかったので魅力的に聞こえなかった」という意見も寄せられています。つまり、どれだけ魅力や実績があっても、伝え方を間違えるとまったく届かないということ。「刺さる」「響く」よりも前に、伝えたいことを伝える下地づくりが重要だと再確認させられました。
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以上、「第1回採用ピッチグランプリ」のイベントレポートでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
そして、ご参加いただいた企業の皆さま・挑戦してくれた学生の皆さま・運営に力を貸してくださった関係者の皆さまにも、心より感謝申し上げます。
「第2回」の開催も準備中です。
「うちも挑戦したい」という企業様はぜひご連絡ください!お待ちしております!