実は、退職後に必要な手続きは、退職日の翌日に次の会社に入社する場合と、1日でもブランクがある場合とでは大きく異なります。
この記事では、退職後の手続きや必要な書類をパターン別にご紹介します。
退職時に会社から受け取る書類
まずは手続きに必要な書類がいくつかあるので確認しましょう。
退職時に会社から受け取る書類は下記の6種類です。
その後の手続きに必要な書類なので、受け取った後は大切に保管しておきましょう。
離職票
雇用保険の失業給付申請に必要な書類です。離職票の交付には時間を要するので、退職後に郵送してもらうことがほとんどです。
ただし、転職先が決まっている場合は雇用保険の手続きをしないため必要ありません。
雇用保険被保険者証
雇用保険(失業保険)の被保険者であることを証明する書類です。転職先が決まっていない場合は、居住地を管轄するハローワークで雇用保険の手続きする際に必要です。
万が一紛失してしまった場合は、ハローワークで再発行してもらいましょう。
年金手帳
厚生年金の加入者であることを証明する冊子です。転職先が決まっていない場合は、国民年金に変更するか、配偶者の扶養に入るかを選び、手続きする必要があります。
万が一、ご自身で保管していた年金手帳を紛失してしまった場合は、居住地の年金事務所で再発行してもらいましょう。
源泉徴収票
所得税の年末調整に使うための書類です。年内に就職しなかった場合は、確定申告の際に必要なので大切に保管しておきましょう。
退職証明書
会社を退職していることを証明するための書類です。転職先で社会保険へ加入するために被保険者資格がないことを証明する書類としても使用されます。
健康保険被保険者資格喪失証明書
会社に義務づけられた書類ではないため、被保険者であった方ご自身が管轄の年金事務所に行き、発行してもらう書類です。それまで加入していた保険が協会けんぽの保険であれば即日発行してもらえます。
退職日の翌日に新しい会社に入社する場合
退職日の翌日に新しい会社に入社する場合、各役所への手続きは転職先の会社が行ってくれますが、転職先に提出する書類はご自身で用意しなければなりません。
また「雇用保険被保険者証」や「年金手帳」は、会社が保管している場合もあるので、退職日までに手元にあるかどうか確認しておきましょう。
転職先に提出する書類
・雇用保険被保険者証/番号のみでも手続き可能・マイナンバー(個人番号)(基礎年金番号)/社会保険の手続き時にマイナンバー(個人番号)を伝えた際は、基礎年金番号は不要
・源泉徴収票
・健康保険被扶養者異動届/扶養家族がいる場合
※会社によっては追加で書類を求められる場合もあるので、入社前に用意する書類を確認しておきましょう。
退職してから入社までにブランクがある場合
退職してから1日でもブランクがある方や転職先が決まっていない方は、ご自身で各役所に行き、手続きをする必要があります。
身分証明書と印鑑(認印)の利用頻度は高いので、手続きに行くときは必ず持っていきましょう。
雇用保険の手続き
転職先が決まっていない方は、居住地を管轄するハローワークで雇用保険(失業保険)の手続きを行います。離職票持参が原則ですが、交付が遅延している際はハローワークで相談しましょう。
なお、失業給付金はハローワークに求職の申請をした上、規定の条件を満たさないと受給することはできません。
健康保険の手続き
国民皆保険の原則から、退職後もいずれかの保険に加入する義務があります。加入する保険は、下記3つの中から選ぶことができます。(いずれも医療費の一部負担金は3割)
万が一、加入していない間に病気になったり事故に遭ったりした場合、健康保険の適用を受けられず、医療費は全額自己負担となるので忘れずに手続きをしておきましょう。
●国民健康保険
他の手続きを行わなければ、退職日の翌日には自動的に加入することとなります。
とはいえ、正式な加入手続きを行わなければ「保険証がもらえない」「自治体によっては遅延金を請求される」などのリスクがあるので、加入したい場合は必ずご自身で手続きを行いましょう。
加入手続き…退職日の翌日から14日以内に居住地の市区町村役所で行います。
●健康保険任意継続
退職後も在職中と同じ健康保険を継続して使用することができる保険です。
利用には、退職日の前日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間があることが必須条件です。
継続期間は2年間が限度ですが、転職するなど一定の条件をクリアしないと任意継続はやめることができません。
また在職中は会社が保険料の半額を負担してくれていましたが、退職後の保険料は全額自己負担となるのでご注意ください。
加入手続き…退職日の翌日から20日以内に加入していた健康保険の保険者へ届け出をします。
●健康保険被扶養者
家族の扶養に入る場合は、被保険者である家族の勤務先を経由して保険者に届け出をします。
健康保険組合によっては、被扶養者の認定について独自の要件や添付書類の提出を設けている場合があるので確認が必要です。
国民年金加入の手続き
退職後は国民年金に変更するか、配偶者の扶養に入るかを選び、手続きをしなくてはいけません。●国民年金に加入する場合
原則、手続きをしなくても国民年金の第1号被保険者として切り替え手続きが行われます。
国民年金保険料の免除申請を行う際は居住地の市区町村役所(又は年金事務所)で手続きをします。
●配偶者の扶養に入る場合
厚生年金に加入している配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の勤務先で国民年金第1号被保険者から第3号被保険者への変更手続きをする必要があります。
保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担しますので、個別に納める必要はありません。
まとめ:早めの手続きで安心
退職後に再度書類を請求したり、逆に返却を要求されたりすることは心苦しくて避けたいものです。
今回ご紹介した退職後の手続きを怠ると、もらえるお金がもらえなかったり、保険が使えなかったりと結果的に損をしてしまうこともあるので、退職後はできるだけ早めに手続きを行いましょう。