大企業を中心に、リモートワークやワーケーションを導入も進んでおり、働き方の選択肢が広がる中で、いま、地方への転職「Iターン転職」を考える人が増えてきています。
とはいえ、住む環境を変えるというのは、その後の人生を左右するかもしれない大きな選択。
そこで、本記事では地方で働くうえでのメリットとデメリットをまとめました。
Iターン転職とは？
「Iターン転職」とは、都市部に生まれ育ち、就職した人が、地方に移住して働くことです。従来までは、興味はあっても実際には難しかったIターン転職ですが、近年では、そのハードルが徐々に下がってきています。
主に過疎化が進む各地方で、若年層や子育て世代を対象に、国や自治体から住居の斡旋や移住奨励金の支給などの支援制度が設けられており、大きな後押しとなっているようです。
転職サイト等でも「Iターン歓迎」とされた求人情報が増えており、「都会の喧騒から離れて、田舎でのんびり働きたい」と考える人たちの関心を集めています。
Iターン転職のメリット
１：環境を大きく変えられる
恐らく、Iターン転職を検討する最大の理由になるかと思いますが、Iターン転職によって、生活環境を180度変えることができます。多くの場合、地方に移住すると、人の少ない豊かな自然の中でのんびりと暮らすことができます。
四季折々の自然を感じながら、地方ならではの美味しいものを食べ、休日も都会のように混雑に巻き込まれることがないので、ストレスの少ない日々を送れます。
また、企業や職種にもよりますが、定時になると残業せずに帰宅し、夜は自分や家族との時間を大切にするという文化のところも多いので、自然と規則正しい生活を送ることができます。
２：生活コストを抑えられる
地方での生活は、都会に比べ生活費を安く抑えることができます。特に月々の生活費の大半を占める家賃は、地方では半額以下になるケースもあり、支出を大幅に抑えられます。
また、マイホームの購入を考えているなら、国や自治体からの奨励金や補助金を活用すれば、安く手に入れることができます。
さらに、家賃だけでなく、食費や日用品費についても、地方の方が都会よりも安い場合が多いので、浮いたお金を趣味に費やしたり、貯金したりと、自由に使うことができます。
３：通勤ストレスから解放される
都会の真ん中で働く場合、会社の近くに住むには家賃が高く、少し離れた場所に住むことになります。そのため、どうしても通勤時間が長くなり、満員電車に乗って職場まで通うことになってしまいます。
毎日1～2時間、人混みの中で立ちっぱなしで電車に乗るというのは、それだけで疲れきってしまうほど、大きなストレスになります。
一方、地方で働く場合、車通勤が主流になり、道路も空いているため、通勤ラッシュとは無縁の生活を送ることができます。
通勤時間が短い分、毎朝早起きして急いで支度する必要がないですし、帰宅後も自分のやりたいことをできたりと、時間を有意義に使うことができます。
また、通勤ストレスがない分、仕事のモチベーションも高く保つことができ、生産性が上がります。
４：子育てと両立しやすい
Iターン転職は子育ての面でもメリットがあります。都会では待機児童問題があり、子どもを保育園に預けられず、働きたくても働けない人が多くいます。
また、買い物できるお店が多く、交通の便も発達しているので、便利な半面、子どもにとっては危険が多かったり、のびのび遊べる場所がなかったりと、必ずしも子育てに良い環境とは言えません。
その点、地方では保育園や幼稚園にも入りやすいので仕事と子育ての両立がしやすく、自然豊かな遊び場もたくさんあるので、子どもにとっても良い環境です。
ファミリータイプのマンションや一軒家を安価で借りられますし、地域によっては自治体の子育て支援もあるので、経済的にも負担が少ないです。
Iターン転職のデメリット
１：仕事の選択肢が少ない
都会に比べ、地方では企業数自体が多くないので、必然的に求人数も少なくなってしまいます。そのため、Iターン転職を望んでいても、なかなか就職先が見付からない場合もあります。また、地域によっては求人が地場産業に偏っているところもあり、必ずしも自分の希望する仕事に就けるとは限りません。
さらに、都会と比べて企業数や人口が少ないため、特定分野のスペシャリストであっても総合的な業務を担う必要があり、専門性を磨いてキャリアアップしていきたいと考える人には不向きな環境かもしれません。
２：給与水準が低い
地方での就職は、都会に比べ、まだまだ給与水準が低くなっています。そのため、同業種・同職種に転職した場合でも年収は下がるケースが多く、高収入を求めている人には向いていません。
同じ給与水準を保ちたいという場合、Iターン転職は厳しいかもしれません。
３：通勤に車が必要
地方では、通勤ラッシュや交通渋滞に巻き込まれるストレスはありませんが、その分、交通手段が限られています。公共交通機関や運行本数が少ないので、通勤手段や日常生活のことを考えると、基本的には車が必須になります。
道は広く、比較的運転しやすい場合が多いですが、運転免許のない人や運転が苦手な人にとっては不便な面があります。
４：情報量が少ない
地方は都会に比べて、情報量が少ないというデメリットもあります。最近はコロナウィルスの影響もあり、各種セミナーやイベントのオンライン化が進んでいるため、以前よりも差は小さくなってきているものの、やはり情報収集のしやすさは都会には劣ってしまいます。
これは仕事においてもプライベートにおいても言えることで、スキルアップのためのセミナーや勉強会、人脈づくりのための交流会などが少ないほか、仕事以外の趣味や習い事をする場も少なくなります。
焦らずに理想の就職先を探そう！
地方での就職には、都会では感じることのできない、さまざまな魅力があります。ですが、希望職種の求人がなかったり、給与面で納得のいく就職先がなかなか見付からなかったりと、スムーズに行かないことも多いかと思います。
ですが、あなたの望んでいる暮らしや働き方が地方で実現しそうなら、「Iターン転職」という選択は素晴らしいものになるはずです。
「移住してから仕事を探そう」などと安易に考えるのではなく、準備期間を長めに設けて、入念な下調べをし、焦らずに納得のいく仕事を探すことが大切です。
