
日々、 “企業アカウント” の投稿がフィードに流れてきます。企業のSNSは、顧客向けのPRのみならず採用領域もカバーするようになりました。今やほとんどの企業が、採用にSNSを活用している——かのように見えますが、頑としてSNSを持たない企業も少なくありません。
「うちには関係ないですよね?」
「炎上のリスクもあるし、怖くないですか?」
「SNSってもう飽和してるし、敢えてやらない判断もあるのでは?」
…… と及び腰になっている現場の声をよく耳にします。
たしかに、2~3年前までのSNS採用は「おしゃれ企業」だけのものでした。早い話、キラキラしていました。キラキラしすぎていました。あまりに眩しい。
自分たちとは別世界なのだと心を閉ざしたい気持ちも分かります。
しかし、2025年のいま現在、SNSは就職活動・転職活動における “当たり前の情報源” へと進化しています。キラキラしなくてもバズらなくてもいいので、地道にSNSで採用広報をやっておくべきです。
新卒就活、すでに学生の7割近くがSNSを活用
マイナビキャリアリサーチLabが2026年卒大学生1,908人に対して行った調査 *によれば、就職活動でSNSを活用している学生は68.2%。いまや10人に7人が、就活においてSNSを使っているという結果が出ています。

※出典:マイナビキャリアリサーチLab『SNS就活最前線!SNSを活用する学生の事情(第1章)』(2025年1月15日)
「インスタで流れて来て雰囲気が良さそうだったから」「TikTokで初めて知って興味を持ったから」という理由でエントリーに至る例も。SNSが立派な入口になっています。
それだけではありません。企業名を検索したり現場社員の投稿を見たり、カジュアル面談の前にInstagramで雰囲気を調べたり––––情報収集ツールとしてもSNSが活用されています。この動向はつまり、バズるような投稿をしなくても発信さえすれば高確率で学生に届くということを意味しています。
中途も同様、「SNS検索」が行動の起点に
中途採用の場面でも、「社名+SNS」で検索するのはもはや普通の行動。多くの求職者がSNSによる情報収集と意思決定を行っています。
企業が発信しているSNS投稿が、求職者の応募意思を後押しする――これはもう一過性のトレンドではなく、採用設計における“構造”です。とくに20代〜30代前半の若手は、InstagramやXで「社員のリアル」や「会社のノリ感」をチェックする傾向が顕著。口コミサイトでは読み取れない空気感を、SNS投稿に現れる “行間” から掴み取ろうとしています。
「発信しない企業」が損をする時代に
ここで重要なのは、「SNSが上手な会社が選ばれる」のではなく、 「SNSが存在しない会社は“選択肢から外れている”」ということです。
求職者がSNSに期待しているのは、職場の雰囲気や社員の様子。つまり、SNSに何も出していない=雰囲気が不明=怖い=エントリーしないという機会損失が起こりかねないのです。発信しない企業が損をする仕組みになっています。
「何も出さない」は「自ら誤解されにいく」とも言えます。
もちろん、SNSには情報の偏りがあります。発信する側・見る側の視点や感情が入るため、誤解や勘違いも生まれます。しかし、それを理由に「じゃあ何も出さないでおこう」と判断するのは危険です。上で伝えたように、大きな機会損失になりかねないからです。
自社で情報発信するのは大前提。そのうえで情報の偏りや感情のズレを生まない工夫が求められています。
踊らされないSNS採用へ
“採用のためのSNS運用” はごく一部のオシャレ企業のやることではなくなりました。「ウチが……?」と半信半疑になっている企業さまにこそ挑戦していただきたいです。
安心してください。踊る必要はありません。
大事なのは、うまくバズらせることではなく、“会社の空気”が少しでも伝わる発信をしておくこと。それだけで、「安心して応募できる会社」に格上げされます。
やってみる価値と、やっておく必要があると思います。